“様子見”は許されない、STSS(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)の恐ろしさ

健康・生活
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2023年に、急速に症状が悪化し、致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者数が過去最多の941人となりました。感染力の強い株が国内でも確認され、今年も前年を上回るペースで患者が報告されています。

感染者数の増加には、いくつかの理由が考えられます。まず、新型コロナウイルスの感染対策が緩和されたことで、他の感染症も増加している可能性があります。また、海外から持ち込まれた毒性の強い株が流行している可能性も考えられます。海外で流行している株が日本にも持ち込まれると、感染力や病気の重症化のリスクが高まります。
さらに、溶連菌の一種である「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の流行も要因の一つです。この咽頭炎が広がると、その合併症であるSTSSの患者数も増える可能性があります。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、他の一般的な感染症とは異なり、市販の薬でウイルスを抑えることができる簡単なものではありません。この感染症は、速やかな専門医の治療が必要であり、通常の風邪やインフルエンザのように自然治癒することは期待できません。STSSは、その進行が非常に速く、合併症を引き起こすリスクが高いため、適切な医療介入が不可欠です。したがって、症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、専門医の治療を受けることが重要です。自己治療や市販の薬では対処できない重篤な状態であるため、医師の指示に従い、早期に治療を開始することが生命を守る上で極めて重要です。

感染症の正しい知識と、感染対策

新型コロナウイルスの感染対策が緩和されたことで、感染症の予防や対策に関して新たな課題が生じています。以前は注目が高かった新型コロナウイルスに対する対策が緩和されると、人々の警戒心が和らぎ、他の感染症に対する意識が薄れる可能性があります。その結果、インフルエンザやはしか、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)など、さまざまな感染症が増加すると指摘されています。

このような状況下では、感染症の予防について慎重な判断が求められます。一般的に、感染症の予防には手洗いやマスクの着用、社会的距離の確保などの基本的な対策が効果的ですが、状況によってはこれだけでは不十分な場合もあります。特に、感染症の流行が続く中で、通常の生活に戻りたいという気持ちと感染リスクとのバランスをとるのは難しいでしょう。

このように、感染症予防には様々な要素が絡み合い、一筋縄ではいかない複雑な課題があります。しかし、地道な努力と正しい情報をもとに、感染症リスクを最小限に抑えるための対策を続けていくことが重要です。

STSS(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)とは?

人食いバクテリア」と呼ばれる劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)は、とても危険な病気です。その名前の由来は、病気がとても速く進行し、感染後数時間で皮膚や筋肉が壊死し、臓器が機能しなくなり、ショック状態になることからきています。組織が壊死する様子がまるでバクテリアが人間を食べているかのように見えるため、「人食いバクテリア症」と呼ばれています。

  • STSSは、レンサ球菌による感染症で、通常は無症候のことも多く、咽頭炎や皮膚の感染症にとどまりますが、まれに通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉、肺など)にレンサ球菌が侵入します。
  • 初期症状は四肢の疼痛、腫脹、発熱、血圧低下などで、発症してから非常に急激かつ劇的に病状が進行します。

この感染症は、急激に症状が進行し、致死率も高いため、早期の受診が重要です。症状が急変した場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
では、どんな症状かを見ていきます。

どんな症状

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、その突発的な発症と急速な進行性により、重篤な感染症として知られています。重篤な場合、発症後数十時間で患者が死亡することもあります。

初期症状としては、四肢の疼痛腫脹咽頭痛発熱血圧低下などが挙げられます。これらの症状は、通常、感染が身体に侵入した直後に現れますが、重症化する前に早期に検出されることが重要です。

病状が進行すると、発病から数十時間以内に以下のような症状が現れることがあります。筋肉周辺組織の壊死急性腎不全成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)播種性血管内凝固症候群(DIC)、そして多臓器不全(MOF)などが挙げられます。これらの症状は、病気の重篤な段階を示し、患者が重篤なショック状態に陥り、最終的には死亡に至る可能性が高いことを示唆しています。

このように、STSSはその速い進行性と重篤な合併症によって特徴付けられています。早期の診断と適切な治療が重要であり、特に初期症状の現れた場合には迅速な医療対応が求められます。足の腫れや高熱などの症状が同時に出現した場合、救急車の呼び出しを迅速に行うことが必要です。

どのような年齢層に発症するのですか?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、年齢に関係なく発症する可能性がありますが、特に30歳以上の大人に多い傾向が見られます。この年齢層では、免疫力が低下しやすく、また基礎疾患を持っている場合が多いため、感染症に対するリスクが高まります。しかし、STSSは子供や若い成人にも発症することがあり、全年齢層に注意が必要です。

感染は誰にでも起こりうる可能性があります。特に、皮膚に傷がある場合や免疫力が低下している場合、他の感染症や手術を受けた後など、体の抵抗力が弱まっている状況下では感染リスクが高まります。また、健康な人でも、感染源となる人や物と接触することで感染する可能性があります。したがって、誰もが感染症に対する予防策を実践し、早期の症状に注意を払うことが重要です。

STSSの発症リスクが特に大人の中高年に高いという事実を知ることは重要ですが、全年齢層が感染症のリスクにさらされていることも忘れてはなりません。そのため、予防策や早期の症状に対する適切な対応は、全ての年齢層にとって重要です。

予防法は

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、その進行が速く、命にかかわる重篤な状態に至る可能性があるため、予防が特に重要です。以下に、STSSの予防に役立つ基本的な対策を詳しく説明します。

まず、手指の消毒が重要です。手は日常生活でさまざまな場所に触れ、細菌やウイルスを媒介する可能性があります。よって、頻繁に手を洗い、特に公共の場所や外出後にはアルコール消毒剤を使用して手指を清潔に保つことが大切です。

次に、咳エチケットの実践も必要です。咳やくしゃみの際には、口と鼻をティッシュや袖で覆うことで、他人への飛沫感染を防ぎます。これにより、ウイルスや細菌が空気中に広がるのを防ぎ、感染拡大を抑えることができます。

また、傷口のケアも重要です。傷口は体の防御機能が低下し、細菌やウイルスの侵入経路となります。そのため、傷口を清潔に保ち、適切な処置を行うことで感染を予防します。特に、足の傷口は衛生管理が難しい場合がありますので、注意が必要です。

感染リスクの高い場所では、マスクの着用も推奨されます。マスクは飛沫感染を防ぎ、他人へのウイルスや細菌の拡散を阻止します。特に、人混みや密閉された空間などでのマスク着用は効果的です。

最後に、STSSの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。STSSは進行が速く、治療が遅れると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の医療介入が必要です。症状が現れたら、迅速に専門家の診察を受けることで、重篤な状態を回避することができます。

これらの対策を実践することで、STSSの発症リスクを最小限に抑え、安全な生活を送ることができます。

どんな治療になるの?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の治療には、以下のポイントが重要です。
まず、抗菌薬の使用が必須です。ペニシリン系薬が一般的に第一選択薬とされていますが、細菌が耐性を持っている場合には他の抗菌薬が必要となります。特に、細胞内に移行しやすい性質を持つクリンダマイシンも推奨されています。これらの薬剤は感染の進行を抑制し、病気の治癒を助けます。

次に、輸液が重要です。STSSでは、患者が低血圧やショック状態に陥る可能性が高いため、血圧を維持するために大量の輸液が必要です。ただし、輸液量の許容範囲が限られているため、慎重な管理が求められます。患者の状態や体重、血圧などを考慮しながら、適切な量の輸液を行う必要があります。

さらに、壊死組織の切除も重要な治療法の一つです。STSSでは、細菌の毒素が血液中に放出され、組織の壊死を引き起こすことがあります。そのため、壊死に陥った軟部組織を広範囲に切除することが必要です。特に、肺動脈圧の経時的な観察を行いながら、適切なタイミングでの手術が重要です。

最後に、免疫グロブリン製剤の使用も考慮されます。一部の症例では、免疫グロブリン製剤の投与が効果的であると報告されています。これらの製剤は、免疫系を補強し、病気と闘う体の防御力を高める効果があります。

以上の治療ポイントを組み合わせることで、STSSの治療効果を最大限に引き出し、患者の回復を支援することができます。ただし、個々の症例によって治療方針が異なる場合があるため、専門医の指導のもとで治療計画を立てることが重要です。

感染症法では、これは重要な第5類感染症に該当し、診断された医師は7日以内に最寄りの保健所に報告する義務が課せられています。
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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